2022/01/31 19:00
昨年末のイベント出展から
新しい香りとして登場した
「フロストフラワーの香り」
テスターを嗅ぐ
皆さんの顔を拝見していると
香り選びの楽しみを
またひとつ増やせたかな?と
うれしく思っています。
今日はその
香りの はじまりのお話 を。
時は1年前、
2021年1月
北海道の厳冬の早朝
よく晴れた空の下、
雪に包まれた森へいきました。
青と白の静かな世界
鹿やウサギの足跡をたどり
凍った小川の上を渡り
森の奥へ奥へ
天にのびるトドマツの
その枝のすき間から
白くまぶしい太陽が
射し込んで
空から
キラキラ、キラキラ
舞い落ちるように
ダイヤモンドダストが
輝いていました
凍った小川を
さかのぼってゆくと
せせらぎの音が
サラサラ、サラサラと
足元の固く真っ白に凍っていた氷が
少しずつ薄く透明に
変わっていきました
と、その時
ほんの一瞬
”甘い香り” が
漂ったのです。
匂いの元を探し
あたりを見回しました
木々は葉を落とし
枯れ草が雪から顔を出すばかり
目を落とすと
足元に
小さく小さく
輝くものがありました。
花のような
羽のような
無数の氷の結晶が
川の流れを覆っていました。
それは
「フロストフラワー(霜の花)」
とよばれる自然現象
気温がマイナス十数度以下に冷え込む朝、
川や湖の薄氷に水蒸気が
凍って結晶になったもの
風がその結晶を壊さない
穏やかで澄みきった空気の中でしか
生れないものです。
私たちの想像を超える自然の美しさ。
雪の花園のような光景に
確かに漂った
木々と水の香りを
何とか表現しようと
ようやくキャンドルに
閉じ込められたのは
またフロストフラワーの咲く
冬を迎える頃になりました。
手に取った精油は「フラゴニア」
白い小さな花がたくさん咲く
オーストラリアの植物です。
2000年代に商標登録、流通が始まった
新しい精油で、
まだまだ秘やかな種類というのも
なかなか出会えない希少性が
フロストフラワーと一緒かな、
と思っています。
ブレンドした「クラリセージ」などとともに
その爽やかさと甘さで
抗菌や免疫活性の植物の力が
心と体のバランスをととのえます。
「フロストフラワーの香り」には
冷たく深い雪の中で
春をじっと待つ
植物の息づかい
厳しいものの中には
美しさがひそんでいること
そして、その厳しいものは
いつか必ずとけてゆくこと
...そんな時間や想いを込めました。
いつかあなたの元に
私たちが
あの日出会った
冬の朝の香りが
届きますように